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卵巣のう腫

卵巣腫瘍とは、普段の状態よりも卵巣がはれた状態を言います。
卵巣腫瘍は大きく分けて二つの種類に分かれます。
腫瘍の中身が分泌液や血液などで満たされているもの(風船のなかにお水がたまっているような感じです)と、充実した組織があるもの(中身がいろんな組織の塊のようなものなど)です。充実性の部分をもつものは悪性の可能性も比較的高いことが多いです。(卵巣がん)
一般的に中身が分泌液などのみで満たされているものを卵巣のう腫といいます。実際日常でよくみられる卵巣腫瘍の9割以上がこのタイプでほとんどが良性のものですが、ごく稀に時間がたってから悪性変化をおこすものもないことはありません。
たまる中身のタイプによっておおまかに3つのタイプにわけられます。

漿液性のう胞腺腫
中身がさらさらした黄色っぽい水のタイプ

ムチン性のう胞腺腫
中身がゼラチンのようなねばねばしたタイプ

類皮のう胞腫
中身がどろどろした油のようなものや、ときには骨、髪の毛などを含むタイプ

子宮内膜症が卵巣におこって、卵巣に古い血液がたまってできるチョコレートのう腫というものもあります。また、妊娠の初期にホルモンの影響で、ルテインのう胞というものができたりすることが比較的よく見られますが、ルテインのう胞の場合は、妊娠4ヶ月から5ヶ月までくらいの間に自然にもとにもどることが非常に多いので、様子をみることがほとんどです。
ただ、やはりまれに、ルテインのう胞のできる時期に、偶然他の種類の卵巣腫瘍ができることなどもありますので慎重な経過観察が必要となります。
また、排卵の時期に卵胞が発育しますが、場合によってのう胞と間違えやすいこともあります。また、生理の直前に血液がたまってみえる、出血性のう胞というものもあります。これは生理がくるとほとんど消失します。

卵巣腫瘍は初期には無症状のものがほとんどで、ある程度以上(直径10センチくらい)になると下腹部の不快感やしこりを触ったりします。また、そこまで大きくならなくても時には破裂したり、茎捻転をおこして急激な腹痛がおこり緊急手術を必要とするときもあります。

卵巣のう腫茎捻転
卵巣のう腫破裂

卵巣のう腫でさほど大きくなく(直径7センチくらいまで)で無症状であり、良性の可能性が高い場合は、定期的に外来でフォローとなりますが、急激に成長したり、あるいは悪性の可能性がみえてきたり、破裂や茎捻転でなくとも痛みなどが出てきた場合などは手術治療が必要となります。
また、特殊ですが、妊娠中にホルモンの影響で一時的に卵巣に水がたまって腫れた状態をルテインのう胞といいます。

卵巣のう腫の茎捻転です

卵巣のう腫の破裂の様子です